ウィザーズプラスコラム

第55回中小企業の差別化戦略

東京商工リサーチが、2013年の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向を発表しました。それによると倒産は456件で、前年の256件の1.7倍にものぼるそうです。

倒産企業を負債額別にみると、最多となったのが1億円以上5億円未満で前年比81.4%増。5000万円未満の小規模・零細企業でも前年比126.1%増となっています。また、倒産件数がもっとも多かったのは全体の3割を占める製造業で、つぎに建設業、卸売業、サービス業となりました。

いよいよ今年は、安倍政権の経済財政政策の効果が期待される1年。ですが、中小・零細企業にまで景気回復の効果が及ぶのはまだ先の話です。座して待つだけでは業績回復が間に合わず、息切れしてしまうことにもなりかねません。

差別化戦略に生き残りをかける

世の中が政策頼みで景気回復を待ちわびる時代、中小企業が生き残るためには明確な差別化戦略が必要となります。ただし、限られた経営資源で戦わざるを得ない中小企業にとって、価格や品質で差別化をはかるのは至難の業。そこで、中小企業でも採用可能な差別化戦略について、具体的に考えてみたいと思います。

差別化を考えるうえでもっとも重要なのは、顧客の視点で考えるということ。顧客が商品やサービスを選ぶ際にポイントとなるのは、価格と品質、そして人になります。

顧客の求める価格で商品やサービスを提供するためには、徹底的なコスト管理が必要となります。ときにはコストを抜本的に見直し、削減することで、新たな商品やサービスの開発へとつなげることも可能です。例えば、ヘアカット専門店のQBハウスでは、水を使用する洗髪などのサービスを廃止することで給排水設備にかかるコストをカットし、他社にはない低価格でカットのみに特化したサービスを提供しています。

つぎに、品質について。企業規模が小さいほど、漸進改良的な新製品よりも根本的改良を伴う新製品の開発に取り組む企業が多いというデータがあります。大企業に比べ中小企業には、経営者の方針によって組織をフレキシブルに動かしやすいというメリットがあります。そうした強みを生かして品質向上に努めれば、品質の差別化をはかることができます。また、細やかなサービスによって顧客のニーズを掴むことで、サービスの幅を広げることもできます。

最後に人について。ある調査によると、1000人未満の企業では「資金不足」と「人材不足」に強い危機感をもっているとの結果がでています。このように、人材の不足は中小企業に限った問題ではありません。むしろ、経営者とスタッフとの関係がより近い中小企業では、問題意識を共有する環境づくりが容易な場合の方が多いのです。

人による差別化は、全社レベルの意識変革から。顧客のニーズをつかみとる細やかな配慮を忘れない人材を育成することが、経営者の使命なのです。

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