ウィザーズプラスコラム

第51回財務会計と管理会計

2013年3月に失効した中小企業金融円滑化法。金融庁などでは、2012年4月に「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」を策定して、金融機関のコンサルティング機能強化などを掲げてきました。

石川県中小企業再生支援協議会によると、金融円滑化法失効後、県内では管理会計の手法を導入して経営再生計画を策定する中小企業が増加。策定を完了した企業のほぼ半数が自社の収益性を見極めるために管理会計手法を導入しているそうです。

売上が増加しても収益が改善しない中小企業が多いなか、効率的に利益計上できる製品や部門別の収益性を検証できる管理会計の手法によって、不採算事業の見直しをするなどの動きが活発となっているようです。

過去を報告する財務会計と未来を予測する管理会計

企業の経営分析を行うためには、財務会計と管理会計という2つの手法があります。財務会計とは、株主など企業外部の利害関係者のために、経営状態を開示する目的で作成されるものです。作成された財務会計諸表は株主や債権者へのアカウンタビリティを果たすために活用されます。いわば会社の過去を報告する機能をもつ会計手法となっています。

一方、管理会計とは、企業内部の経営者や部門管理者のために、経営に関する意志決定に役立つよう、経営の実態を明らかにするものです。製品や部門別に、その安全性や収益性、生産性、成長性などを分析し、現状を把握して経営判断に反映させることを目的として作成されます。

管理会計の方法は企業によって異なりますが、その特徴としてあげられるのが、貢献利益や直接利益、営業利益といった考え方です。貢献利益とは限界利益から管理可能な固定費を差し引いて計算されるもので、部門でコントロール可能な利益のことをいいます。直接利益は貢献利益から部門で管理不能な固定費を差し引いて計算されるもの。営業利益は共通経費を控除した後の利益を指しています。

こうした利益について、管理会計では変動損益計算書などで管理します。変動損益計算書では、変動費を「率」で、固定費を「実額の増減」によって管理するため、それを製品や部門ごとに分析することで、経営の方向性を見極めることに役立つのです。

現在、日本では、国際財務報告基準(IFRS)の適用開始に向けた動きが始まっています。IFRSが適用されることで、管理会計が企業の将来を見通すためのツールとして、本格的に導入されることが予想されます。収益性を適正に判断するため、また、世界の動きに乗り遅れることのないよう、管理会計と財務会計の運用について、いま一度考え直すときが来ているのではないでしょうか。

copyright © wizardz plus all rights reserved.