ウィザーズプラスコラム

第20回経営判断における重要なポイントとは

平成24年の『中小企業実態基本調査(速報)の概況』(平成23年度決算実績)の内容をチェックしてみました。それによると、中小企業の売上高経常利益率は2.35%で、前年度1.97%より0.37ポイント上昇しています。また自己資本がどれだけ効果的に利益を獲得したかを示す「自己資本当期純利益率(ROE)」は6.68%で、前年度よりも1.65ポイント上昇し、なかでもサービス業では、10.54%ともっとも高くなっています。ほかに総資本の運用効率を示す「総資本回転率」は1.19回となり、前年度より0.05回多い結果となりました。こうした数値を景気回復の兆しとみるか、堅実な業務改善努力の成果とみるのか、さまざまな判断ができると思います。

経営判断の重要なポイント

売上経常利益率や総資本回転率といった数値は、企業の収益性をはかる大切なポイントですが、この数値だけでは的確な経営判断はできません。経営判断には、財務諸表から読み解く定量分析(財務分析)や、外部環境や内部環境、将来性などをふまえて会社の適応力をはかる定性分析といった、2つの視点が必要となります。

経営判断の基礎となる財務分析のポイントとなるのは、収益性や成長性、生産性、安定性といった側面からの綿密な分析です。収益性分析には、自己資本の運用効率を示す総資本回転率や、収益性の基本となる売上経常利益率を、事業年度、事業部など多面的に比較し、その中身について分析することが重要となります。成長性分析では、売上高伸率や限界利益率、労働生産性伸率といった指標を用い、「売上・コスト・利益」の総合的な成長バランスをみることが重要です。生産性分析は、労働生産性や資本生産性などの指標によって、会社の収益力が生産性の向上に裏打ちされているか、また、貢献と成果の配分は適正に行われているか、などが重要な要素となります。安定性分析では、流動比率、当座比率、借入金依存率、固定比率、自己資本比率、経営安全率などの指標を用い、会社の支払い能力などを評価し、分析することが重要です。

以上のように財務分析によって現状を把握したうえで、会社の将来性や適応力をはかるのが定性分析となります。定性分析とは、市場の動向や競合状態などの外部環境や、技術力や商品力などの内部環境をはかり、会社の将来性や適応力を分析するもの。加えて、経営理念の周知や情報開示、経営改善への取り組みなど、経営力を客観的な視点から分析することも重要です。

明確な数値によって現状を綿密に把握する定量分析と、それを生みだす背景や技術力、経営力までを問う定性分析。これらのポイントをおさえてこそ、新たな経営改善への方針を策定することができるのです。

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