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第140回法務デューデリジェンス

M&Aにおけるデューデリジェンス(適正評価手続き)のなかでも、近年とくに重視されているのが法務デューデリジェンスです。法務デューデリジェンスは一般的に弁護士資格を有する専門家が担当することが多く、M&Aにおける法務リスクの洗い出しに調査の重点が置かれます。

そのおもな調査対象となるのは、買取対象企業の株式や株主、組織、子会社・関連会社、資産・知的財産権、貸付・借入・保証・担保、取引契約、人事労務、法令順守、訴訟分野などにおいて、重大な法的問題がないかどうか。調査の結果、法的な問題が浮かび上がれば、M&A取止めといった事態になる可能性もあります。企業のコンプライアンス体制が重視される昨今、M&Aを行う際には必須の調査・評価手続きです。

法務デューデリジェンスの調査ポイント

法務デューデリジェンスは企業活動全般に及ぶものであるため、調査対象は多岐にわたります。ここではそのおもな項目とポイントについてご紹介してみましょう。

  1. 組織
    定款や商業登記謄本、会社概要、取締役会等の組織資料、社内規定、議事録関係、監査報告書などを精査
  2. 株主・株式
    株主名簿や過去の株主の変遷、株式に付着する権利制限、株券の発行状況、従業員持株会などの資料を精査
  3. 子会社・関連会社
    親会社グループ会社の一覧や概況資料、取引リスト、借入・保証・担保等に関する契約などを精査
  4. 資産
    所有不動産や動産、賃借不動産などのリストや登記簿謄本、契約書類を精査
  5. 知的財産権
    保有する商標権やその他の知的財産権のリストや契約書類を精査
  6. 貸付・借入・保証・担保
    借入金とその返済状況を示す資料、契約資料などを精査
  7. 取引契約
    主要取引先のリストや契約書類、アフターサービスや品質保証に関する契約書類を精査
  8. 人事労務
    組織図や役員名簿、従業員の構成、就業規則、給与台帳、安全管理体制の概況を示す資料などを精査
  9. 許認可
    事業に必要な許認可のリストや許認可の取得を証する書面、所轄官庁への届け出資料などを精査
  10. 環境問題
    環境問題に関わる所轄官庁関係の書類や廃棄物等の処分に関する資料を精査
  11. 訴訟・紛争・不祥事
    係争中または訴訟となる恐れのある紛争、クレームに関する資料を精査
  12. 法令順守
    法令順守及び法令違反の是正に関する社内体制を精査
  13. 保険
    加入保険のリスト、概要のわかる資料を精査
  14. 決算・税務
    過去3年間にわたる決算書や税務申告書類を精査

上記項目における調査のポイントは、会社法上必要な書類を精査することで、株式の有効性と会社法上の手続きがなされているかどうかを確認するということ。法務デューデリジェンスの手順としては、経営陣からのヒアリング、ドキュメントリストの作成・送付、必要書類の受取、書類の精査となります。また必要に応じて担当者にインタビューするなどといった調査を行うこともあります。

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