ウィザーズプラスコラム

第117回流行の経営手法

もしもこの世に「究極の経営手法」なるものが存在するとしたら・・・。「それを会得するためなら高額投資も辞さない!」という経営者は多いのではないでしょうか。

日本でいえば「松下幸之助が実践してきた究極の経営手法」とか、世界的でみれば「ドラッガーの経営手法」とか。実際にこうしたテーマを扱った書籍はいつも売上上位にランクインするようです。

こうした経営手法の解説本から学べることは多いと思います。でも現実を直視してみれば分かるように、「究極の」と呼べるような経営手法というのはこの世には存在しません。

なぜなら経営環境は常に変化しているものだから。事業を経営するということは、常に変化しつづける要因に対応し、相対的な価値を生み出すことが必要なものです。諸行無常。そこには「絶対的な」ものなど、なにもないのかもしれません。

業績か、経営者報酬か

こうした現実を踏まえてか、近年は経営手法の流行廃りが激しくなっているようです。それというのもメディアなどに取り上げられて話題となっている経営手法を学び、それをすぐに自社の経営に取り入れようとする経営者が増えているから。

時代が加速度的に変化する現代、流行の経営手法に追い付いていこうとするのは難しいもの。なかにはそうした流行に振り回されてしまっている経営者もいるようです。

近年、注目を集めているのは「ビッグデータ」の活用とか、「グローバル人材」の活用といった経営手法。コア・コンピタンス経営やアメーバ経営といった言葉も耳にします。

こうした流行の経営手法を導入している企業について、ある研究成果が発表されています。とても興味深い結果となっているので、ここで少しご紹介してみたいと思います。

その調査では、フォーチューン500企業のうち100社をサンプルとして、調査当時流行していた経営手法の活用の度合いとROA、ROEといった経済的指標による企業業績との関係、フォーチューン誌の「もっとも賞賛される企業ランキング」のデータ、CEOの経営者報酬との関係を調査したそうです。

調査の結果分かったのは、流行の経営手法を導入することは企業業績にはあまり役立っていないこと。つまり流行りに飛びついても、業績アップにはあまり役立たないということが分かったそうです。

ただし別の面での効果はあらわれているのだとか。それは流行の経営手法を取り入れることで、業務改善への取り組みがメディアで取り上げられる頻度が増えるということ。またそこからリンクして、CEOの経営者報酬アップへとつながることも。流行の経営手法を導入している企業の経営者はイノベーティブな存在として注目され、高く評価される傾向にあるようなのです。

こうした研究結果を知ったうえで、経営者としては「どのような行動に出るべきなのか」とあらためて考えなければなりません。経営者となったからには、流行の言葉や手法、コンサルタントの言うなりになるばかりではなく、環境と能力に見合ったオリジナルの経営手法を編み出したいものです。

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