ウィザーズプラスコラム

第115回財務改善(B/S)

前回は損益計算書(P/L)について書きましたが、今回はそれと同じように重要な貸借対照表(バランスシート=B/S)について書いてみたいと思います。

経営者にとって、財務状況を把握する際の基本となるのが貸借対照表。でもじつは日本の経営者の多くは数字を見ることが苦手な様子。

グローバルな視点から日本企業のROE(株主資本利益率)やROA(総資本利益率)の低さが指摘されたり、不採算事業の撤退判断が遅れたりするのも、すべては財務諸表に現れる数字に対する、経営者の意識の低さに原因あると言われています。まずは経営者自らがこうした弱点を克服しなければ、財務改善への道を開くことはできないのではないでしょうか。

貸借対照表のココを見るべし!

貸借対照表というのは、資産と負債、純資産の関係から決算日における会社の財政状態をあらわしたもの。左側の「資産」の合計と、右側の「負債」と「資本」の合計とがバランスするようになっています。

「資産」の項では会社が資産をどのような状態で持っているかを示すため、「流動資産」と「固定資産」とに分けられます。流動資産とは1年以内に現金化することができる資産のことで、現金や預金、売上債権、棚卸資産などがこれに当てはまります。固定資産とは1年以上にわたり固定化する資産のことで、機械設備や土地建物、差し入れ保証金などがこれに当たります。

「負債」の項では会社の借金の状態を示し、1年以内に返済する「流動負債」と長期の「固定負債」に分けて記載されます。また「資本」の項では株式による払込資本や資本余剰金などが示されます。

財務をより良い状態に改善したいなら、まずは流動資産の「売上債権」と「棚卸在庫」に注目しましょう。キャッシフロー重視の経営を実践している経営者は多いようですが、同時にキャッシュ以外を圧縮し、合理化するのも重要。そのために受取手形や売掛金といった売上債権、商品在庫や仕掛品といった棚卸資産の圧縮と合理化を心がけましょう。

また貸付金や前払い金が長く残されていないか、貸し倒れの引当は必要充分かなど、財務の健全性を維持するための数字が計上されていることを確認することも重要です。

つぎに注目していただきたいのは、「固定資産」と「減価償却費」について。とくに固定資産に対して減価償却費が適切に計上されているかをチェックすることが重要です。

減価償却費というのは設備などの購入資金を一定期間に分けて経費計上し、長期的に回収する方法。多額の投資費用をまとめて経費化すれば損金が増えてしまいますので、財務の健全化をはかるにはその適正な計上が必要なのです。

そしてもっとも重要なのが「自己資本」についての考え方。資本の調達方法には自己資本と、負債による他人資本とがありますが、近年は無謀な事業投資によって他人資本が増えすぎ、経営破たんに陥るケースが少なくありません。経営者として目指すべきは、自己資本比率の高い会社なのです。

貸借対照表の数字を的確に読み取る能力。それを身につけた経営者は財務改善が必要な時と的確な手段を選ぶことができるもの。

そのためまずはグループ内での会計基準の統一や、正しい数字を迅速に読みとるためのシステム構築の見直しに取り組むことが重要。ただ財務諸表とにらめっこするのではなく、数字に近づく環境作りから始めることが大切なのではないでしょうか。

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