ウィザーズプラスコラム

第113回原価計算と国際会計基準(IFRS)

2015年3月期から日本の上場企業で「国際会計基準(IFRS)」を導入する企業が急増しています。2015年9月現在、日本の証券取引所では上場企業が提出する有価証券報告書が準拠すべき会計基準を「日本基準」や「米国基準」、「IFRS」の任意選択としています。また金融庁は「2015年または2016年からの強制適用」を棚上げにしている状況。

IFRSとは、1973年にロンドンで設立された国際会計基準審議会(IASB)によって作成された会計基準。2005年に欧州連合(EU)が上場企業への適用を義務付け、現在ではカナダやオーストラリア、ロシア、ブラジルなどでも強制適用されています。

東京証券取引所によれば、2015年8月現在、東証上場企業3,486社のうち68社がIFRSを導入。今後の導入が決まっている企業は23社で、合わせると時価総額ベースで2割に達しているそうです。

IFRS導入のメリットは、グローバルにガバナンスを強化することで迅速な経営判断が可能になること、ライバル企業との比較可能性が向上することなど。世界中でIFRSを導入する企業が増え続けるなか、グローバルにガバナンスを強化できるといったそのメリットを踏まえて、導入する日本企業は今後も増加していくのではないでしょうか。

IFRS導入時の原価計算システム

IFRSには原価計算に関する詳細な規定はありません。ですから基本的に現行の日本における原価計算基準の適用が可能。ただし棚卸資産に関する規定がありますので、そちらをご紹介したいと思います。

IFRSでは企業にとって性質および使用方法が類似する棚卸資産については同じ原価算定方式の使用が求められます。ただし異なる性質または使用方法の棚卸資産については異なる原価算定方式の使用が認められています。

原価計算方式としては、代替性のない棚卸資産や特定プロジェクトのために製造された一定の棚卸資産については個別法とし、それ以外の棚卸資産は先入先出法か加重平均法を採用するものとしています。

配賦基準としては正常生産能力(計画的なメンテナンスをしたうえで生じる能力低下を考慮して、正常な状況で期間または季節を通じて平均的に達成されると期待される生産量)を用いることとされています。ですから実際操業度を基準とした配賦について適用するためには説得力のある資料を揃える必要があります。

また多額の原価差額が生じた場合、IFRSでは一括して棚卸資産の評価減を行うことが認められていないため、製品ごとに評価減の処理をしなければなりません。

IFRSのような新たな基準を導入することによって製品原価項目の会計処理が変更されれば、原価計算にも影響を及ぼします。そのため導入にあたっては、IFRSが原価計算に及ぼす影響についても考慮する必要があります。また原価計算システムを活用する場合には、操業度差異を把握し、適切な製品または製品グループごとに原価差額を配賦することができるようシステムを構築しなければなりません。

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