ウィザーズプラスコラム

第111回原価計算の精度

2015年秋。天候不順による不作が懸念される農業の世界ではじまった、新たな取り組みが注目を集めています。神奈川県藤沢市のJAさがみでは、市場相場に左右されてきた出荷額を、農家自身が生産コストをもとに決める取り組みを開始したそうです。

この新方式の導入にあたってJAでは、作業時間管理やコスト計算の手法を農家に指導。この取り組みによって、農家が自らの農作業の効率を振り返ることで経営感覚が磨かれるという効果も期待されているそうです。

計算時間短縮で精度アップ

コスト意識を高めることには、経営への意識を変革し、業務改善へとつなげる効果があります。このように原価を計算することにはさまざまな効果があり、目的があります。ここであらためて「原価計算基準」に定められた原価計算の5つの目的を振り返ってみましょう。

  1. 財務諸表作成
    財務状態を財務諸表に表示するために必要な真実の原価を集計すること。
  2. 価格設定
    価格計算に必要な原価資料を提出すること。
  3. 原価低減
    経営管理者に対して原価管理に必要な原価資料を提出すること。
  4. 予算編成
    予算の編成ならびに予算統制のために必要な原価資料を提出すること。
  5. 経営意思決定
    経営の基本計画を策定するために必要な原価情報を提出すること。

昭和37年に公表されたこの「原価計算基準」を基本としつつも、経済環境の変化などによって現在では原価計算により多くのことが要求されるようになっています。

たとえば、2006年から試行されている「J-SOX」や国際会計基準(IFRS)といった新たな会計基準への対応。多品種、少量生産型への生産形態のシフト。資材の輸入や製品輸出、海外工場の設立、海外への外注などといった商圏のグローバル化など。こうした経済環境の変化に対応して的確な経営判断を下すには、より精度の高い原価資料が必要となるのです。

原価計算の精度向上という要求に加えて、決算短信の45日開示が制定されてからはさらに計算時間の短縮も重要な課題となっています。上場企業でなくとも、精度向上のためには計算時間短縮への取り組みが欠かせないものとなります。そこでここでは原価計算の時間を短縮するための費用計算ごとのポイントをご紹介します。

このようにリアルタイムに費用計上して積み上げることで、より短い時間で原価計算を行うことができます。計算時間を短縮することができれば、より高い精度で原価資料を経営へと活かすことができるのではないでしょうか。

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